色鉛筆で植物を描く際に参考になった書籍, Webページ

ここに紹介するのは、私のわずかな経験からですが、
個人的に色鉛筆で植物を描く際に参考になった書籍と、Webページです。
著者の皆さんに感謝します。
(2022年11月追記:次の2冊は入手困難です。
  ・色鉛筆の基本的な使い方については:
   生田貴子著 ちょっと始めて ぐーんと上達 色鉛筆レッスンノート  グラフィック社
   生田貴子著 スーパー色鉛筆アート ホルベイン
    が、植物を素材にしていて参考になりました。
    作例にホルベイン製の色鉛筆を使っている本ですが、
    近い色を選べば、他のメーカーの色鉛筆でも問題ありません。
    使う紙の質(表面の平滑さや厚み)のほうが大きく影響します。)

   追記:生田貴子著 色鉛筆で描く美しい花 池田書店
     が、2018年6月18日に発売されました。
     グレーで下塗りする理由や、暗い色から塗る理由などが、
     初心者にもわかりやすく説明されています。
     作画の各段階ごとの写真が載っています。
  
・色鉛筆の基本的な使い方のビデオとしては:
 Ann Swan のWebページで色の選び方のビデオなどを見ることができます:
 Creative Colour Mixing Workbook By Ann Swan
 下記のWebサイトには、数名のアーティストのビデオが載せてあります:
 BOTANICAL ART & ARTISTS, Video Tips - Coloured Pencils By Katherine Tyrrell 
 YouTube では、さまざまな色鉛筆アーティストのビデオがみられます。たとえば:
 Colored Pencil Techniques Made Easy with Janie Gildow
    Getting Started with Botanical Drawing by Wendy Hollender

・洋書で色鉛筆による植物画の書籍では:
 Botanical Drawing in Color  By Wendy Hollender 
 Botanical Drawing Using Graphite and Coloured Pencils    By Sue Vize
 Botanical Portraits With Colored Pencils    By Ann Swan
  前2者は基本から丁寧に解説してあり、勉強になります。
  後者は色鉛筆で描いた精緻な植物画を見せてくれます。
  いつかこのように描けるようになりたいと思います。
  ここでは書籍を紹介しませんが、バーニッシャやソルベントの利用については、
  米国の色鉛筆アーティストに学ぶ点が多くあります。

・色鉛筆による植物画の和書では:
 野村陽子著 野村陽子のボタニカルアートレッスンブック―色えんぴつで描く ほおずき書籍
  野菜・果物・バラ・コスモスを例に、使用色とワンポイントアドバイスが載せてあります。

 野村典成著 色鉛筆で描くボタニカル・アートLesson 誠文堂新光社
  17種の植物について使用色が書いてあり、絵の描き方についても勉強になりました。
  著者の植物に対する強い思い入れを感じました。

・つぎの書籍2点では、色鉛筆も含めて植物画全般の描き方を初心者向けに書いてあります:
 Botanical Illustration  By Valerie Oxley
  この本では、トレーシングペーパーの裏面にグラファイト鉛筆ではなく、
  色鉛筆を塗って転写することを勧めていて、合理的だと思いました(p.152)。
 Botanical Illustration for Beginners  By Meriel Thurstan and Rosie Martin
  この本では、白い花を描く際のポイントがとくに参考になりました(p.113-119)。

・トレーシングペーパーから転写する際に、鉛筆ではなく、0.3mmのハイブリッドペンを
 使うよう勧めているのが西本眞理子氏で、たとえばつぎの本にもそれが紹介されています:
 西本眞理子著 DVD付 植物画・はじめての彩色レッスン 日貿出版社
  私は赤の0.3mmハイブリッドペンを使うこともありますが、
  H~3Hのグラファイト鉛筆を細く削ってトレースすることのほうが多いです。

(2022年11月追記:河合ひとみ著 描き込み式 花の色鉛筆ワークブック 誠文堂新光社  には、トレーシングペーパーを使って写真からケント紙へ転写する際に、表を3H鉛筆、裏を2H鉛筆で描いて一円玉でこすって転写する方法が紹介されています。この方法だと裏に輪郭線のほかに余分な鉛筆を塗らないので、画紙が汚れなくてよいと思います。)
 
・下記のサイトも参考になりました:
 Colored Pencil Painting By Libby Kyer



By Katherine Tyrrell 

・植物の形態については、つぎのWebページが役に立ちました:
 福原 達人 准教授(福岡教育大学 教育学部)の 植物形態学 の講義ページ
  シランや、アヤメの花の造りをよく理解することができました。


・葉の鋸歯の役割については、つぎのWebページが参考になりました:
 鋸歯の役割 みんなのひろば 日本植物生理学会
  このページは、ほかの疑問にも答えてくれていて、 参考になりそうです。

・ヒマワリの種の配置や、松ぼっくりの鱗片の配置が、フィボナッチ数の渦巻きになっていることは、
 たとえばつぎの文献にあります:
 佐藤修一著 自然にひそむ数学 講談社ブルーバックス p.232-235.
 この本では、葉序の開度についても書いてあります。

以下 色鉛筆の耐光性について 2022年12月追記:

私はポリクロモスを常用してきましたので、ポリクロモスの耐光性についてWebサイトを調べてみました。

1. ファーバーカステルでは美術館の条件下耐光性をテストし(tested under museum conditions)、評価はBlue Wool Scale を基準として最上位2ランクの色に星3つをつけていることが、つぎのサイトで示されています。美術館の条件下というのは、詳細は不明ですが太陽光が当たらない条件下と推測されます。

https://www.rexart.com/media/color_charts/f-c/f-c_lightfastness.html


2.  Blue Wool Scale を使うASTM Standard D5383については下記に紹介されています。

https://cpsa.org/about/testing-by-cpsa/

この基準では、美術館の条件下ではなく、太陽光に当てて、Blue Wool Scale で評価することとされています。ファーバーカステルのテスト(美術館の条件下)とは当てる光が異なると考えられます。Colored Pencil Society of AmericaではこのD5383によって独自に色鉛筆の耐光性を評価しています。その評価結果はメンバー限定の情報です。


3. ASTM Standard D6901 (2003年)については、下記に簡単に方法が紹介されています。

https://cpsa.org/about/astm-standard/

この基準では、太陽光とキセノンアーク(可視光域の分光分布が太陽光のそれに近い)の両方を当てることとされています。


4.  つぎのWebサイトPencil Topicsでは、Judith Crown氏が実際にイスラエルで太陽光に14週(イギリスで数年間の太陽光に相当)当てて耐光性を調べて2018年にWebに公表した結果を紹介しています。

https://www.pencil-topics.co.uk/lightfastness-test.html#gallery[pageGallery]/10/

ポリクロモスは黄色系と薄紫系の色が著しく退色しています。緑色系も退色し青色味の方へ色相が移っています。そのため退色を防止する措置が必要と述べています。このように実際に太陽光に当てる条件下では、ポリクロモスとヴァンゴッホとの耐光性の差が現れています。


5. つぎのサイトでも、Lisa Beckers氏が2017年に実際に太陽光に1年間当てて耐光性を調べています。

https://lisabeckers.nl/research/lightfastness-colour-pencil-research/

私が植物を描く際によく使うポリクロモス167を含めて多くの色が、かなり退色しています。また、ポリクロモスとルミナンスとの耐光性の差が現れています。

6.2022年10月に公表されたつぎのStephanie Kilgast氏のサイト(窓際で2年、ヴァンゴッホは1年光に当てる)も参考になりました。上記の4番のサイトに触発されて自ら調べたそうです。

https://www.stephaniekilgast.com/blog/lightfastness-colored-pencils

同氏のYouTubeは、

https://www.youtube.com/watch?v=v4f68Vip4Wo

以上 2022年12月 追記終わり

このブログの人気の投稿

湿地性カラー Zantedeschia aethiopica